彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
     *****

そして翌日。

主任との約束は日暮れ前っていうザックリした感じで。

初めて主任とディナーに行ったのは初夏だったから六時半ごろだったけど、今はもう秋で、五時半には日が暮れる。

いくらなんでもディナーには早すぎやしませんか?

それでも頑として日暮れ前に迎えに行くと言って聞かない主任。
家までくるんだし、関係なくない?

しかも行きも帰りもタクシーで、主任持ち。
申し訳ないって言うか、私車出しましょうか?って言いそうになる。

でも結局、主任に言い負かされてというか聞く耳持ってくれなくて従うしかなくて……


『今から家を出ます。五分ぐらいで着きます』


ディナーに行くようになって教えてもらった主任のプライベートのPCアドレス。

個人の携帯じゃないのはプライベートに割り込むなって事だと思うと寂しくなる。

理由なんて聞けない、でもプライベートのアドレスを教えてくれたのはすごい事なんだとは思う。


現在五時。
うん、確かに日暮れ前。

でもこんなに早くお店に行ってもご飯食べられないような?


ピンポーン

はやっ
まだ五分経ってない


―――ガチャ


そこには眼鏡をかけていない主任がいて。
いつもなら眼鏡で見えない表情も今日はよく見える。不機嫌だって事も。

挨拶をするのも忘れて立ち尽くす私に、


「天ヶ瀬さん、誰か確認しないで鍵をあけて知らない人だったらどうするんですか?」


って?
何?いきなり説教?

だって、さっきメールきたし。
時間的にぴったりだし、
主任に間違いないって思ったから。


「あ、の、普段はちゃんと確認し―――」
「当たり前です」


ですよね……
なんだか不機嫌です。主任。
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