彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
      *****


「ふわぁ~ねむ」

「……桃ちゃん。いくら主任いないからって大あくびしすぎ」


欠伸をする私の頭上からそんな言葉を投げたのは望亜奈さん。
カウンター業務が忙しくない時は、事務所で書類の整理を手伝ってくれる。

ここ最近、主任は朝早くきて書類のチェックを終わらせるとすぐに外回りに出ているみたいで、ほとんど顔をあわせることはない。
今の時期はそんなに忙しくないはずなんだけど……

寝不足の今日はちょっと好都合。
ほんと仕事に支障をきたすほどゲームするなんて、まるで子供。


「昨日夜更かしでもしたの?」

「あーはい。……ちょっと」


ネットゲームをしてることは、いまだ望亜奈さんには言ってない。
そんなのしてるから彼氏できないのよ?って説教されそうだから。


「お肌には十二時には寝ないとね?」


全くそんなの、守られたことないですけど。


「そういえば、朔也さんは元気?」

「あーえっと。去年クリスマス前にお店で会って以来、ですかね」

「ん?クリスマス前?誰と、行ったの?」

「へ?従兄弟ですよ?伯母さんがいけなくなってその代わりに従兄弟と二人で」


そうそう。
だからクリスマスディナー食べられることになって。
ほんと、すっごくおいしかったなぁ。


「従兄弟ってまさか、男?」

「そう、ですけど?」


次に続く言葉は「イケメン?」かな?


「いくつ?イケメン?どこに勤めてんの?」


一気に三つ来ました。
心なしか目が真剣モードになってるような……

それでも一応、その問いに真面目に答える私。


「二十七歳、イケメン、J社勤務」

「うっそ、そんな物件早く教えてよ、桃ちゃん」

「いや、でも潤にぃ、腹黒ですよ?」

「腹黒上等。今度紹介してね♪」

「いえ、遠慮しときます」


潤兄と望亜奈さんの腹黒バトルすごそうだし。
巻き込まれたくない。
< 238 / 439 >

この作品をシェア

pagetop