彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)


「そう、なのかな?」

「気まずい感じになったら、近所なんで渡しにきちゃいましたーて言えばいいんじゃない?」


それもどうかと思うけど。
渡すだけ渡して帰ってきちゃえばいいってことか。


「はい、今すぐ主任メールする!」


え?なんて?
おもいっきりプライベートなことだから社内メールではできないし。
私がどうしたらいいか考えていると望亜奈さんが、


「桃ちゃん、携帯貸して?」


普通に言われて何も考えずに渡したら。目の前でその携帯を操作している望亜奈さん。


「よし、おっけ~。じゃあ送信と」


目の前でポチッとボタンを押す様子を見て……る場合じゃないっ


「ぇええええええええ」

「桃ちゃん、声大きいって」

「ちょっと、望亜奈さん、今っ何してっ」

「んー?主任にメールしただけだけど?」

「なんて、メールしたんですかっ」


慌てて携帯を奪って送信メールを確認する。


【今日どうしても見て頂きたいものがあるんですが、何時頃戻られますか?】


戻らないって知ってるのに何時頃戻るかなんて、まるでおバカな子みたいじゃない私。
それにどうしても見ていただきたいものって何。
しかも。
こんな内容なのにプライベートな方のアドレスに送ってるっ


「望亜奈さんっどうするんですか?これっ」

「どうもしないわよ?返信待ってればいいんじゃない?」


って食後のコーヒーを飲みながら、いくらお店の人が見てないからって私の作ったチョコを食べてるし。


「ん。おいしい。さすがー愛がこもってるわぁ♪」

「望亜奈さんっ」


うわーん。
もう二度と主任に会えないよぉ。

十四日の今日、「どうしても見て欲しいものがある」なんてプライベートのほうにしたらそんなのって。


「大丈夫だから、ね?」


どのへんが大丈夫なのか。
どんなに抗議しても、もうそのメールは送られてしまったわけで。

主任からの返事を待つしかなかった。
< 257 / 439 >

この作品をシェア

pagetop