彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
ランチを終えて事務所に戻って午後の仕事にかかったけど、当然集中できるわけもなく。
ため息ばかりついてる。
作業中のPCの方にも主任から細かい指示メールさえ届かない。


何の連絡もないまま、時刻は六時。
今日の分の仕事は終わり、書類の整理を始めたとき


「天ヶ瀬さん、外線一番にお電話です」


私宛の電話をしてくるのは一人しか居ないと思うけど。でも、まさか


「あ、すみません、主任からです」


まさかじゃなかった!
メールなら考えてから返せばいいけど。

電話とかっ無理っ

そうは思っても、目の前の電話は私宛で、社会人として早く出ないと失礼って言うか。


あぁもう
何で電話なんて……


「お電話かわりました、天ヶ瀬です」

『おつかれさまです。何かありますか?』

「いえ、特には……」

『今日中に確認しなくても大丈夫ですか?』


しまった。
今日見て欲しいものがあるって望亜奈さんメールしたんだった。


「あ、あの。それは明日でも。……はい」

『明日一番で提出のものならば、今日は八時ごろでしたら事務所に戻れますが』

「いえ、あの大丈夫です。よく見たらそんなに急ぎじゃないみたいなので……」


言ってることめちゃくちゃだけど、この場でまさか家に届けますとも言えず。
なんとも疑問が残る風の主任の電話を慌てて切った。

もちろんなんの約束も出来ないまま。

望亜奈さんに言ったら怒られそうだけど、こればっかりは。

だって、まさか主任。電話してくるなんて思わなかったもん。
普段はいつもメールでやり取りしてるし緊急で連絡するようなこともないし。

渡せないのが決定してよ良かったよ。
うん。良かったんだよ。
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