彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)


「おまたせしました」

「あ、いえ、全然」

「行きましょうか」


えっと?どこに?
私が思いっきり頭の上にはてなマークを沢山つけていたのか、主任は、


「おなか、すいたでしょう?」

「はい。あ、いえ、そうで…も。」


ほのかに笑う主任に、またやっちゃったって思いながら。


「はい、すきました……」


正直に告白する。
こうなったら、もう今更隠しても仕方がない。


「天ヶ瀬さんお勧めのあの店、行きましょうか?」

「アース、ですか?」


朔也さんのお店がもうクローズ時間になってしまった時に一度一緒に行った。
望亜奈さん行きつけのお勧めの創作料理の居酒屋。


「あのお店の出汁巻きの味、また食べたくなりました」

「ほんとですか?!あの出汁巻きもう絶品、ですよね?」


興奮して言う私に「とりあえず出ますよ」といって席を立つのを促す主任。
潤兄だったら、きっとさっさと先に行っちゃうのに、主任はほんと紳士だなぁ……


アースに着いて、席に案内されると早速飲み物と出汁巻きを注文する主任。
ウーロン茶なんて頼んでいるあたり、やっぱり家で仕事をする予定みたい。


「天ヶ瀬さん、よかったら飲んでもいいですよ?」

へ?車なのになんで飲めとか言うのかな?
いつも朔也さんに酒を無理に勧めるなって怒ってるぐらいなのに。


「車ですし、」

「私でよければちゃんと運びますよ?車も、天ヶ瀬さんも。」


車はともかくっ
私は運ばれたりしませんっ


なんか今日の主任、意地悪だ。

そういえばこの前のメールを読んだ望亜奈さんも主任は意地悪って言ってた。
普段はこんなこと言わないのに。


「今日は、大丈夫ですっ」


フッって鼻で笑った?今?
私がムキになるから主任はこうやってちょっと悪戯心が出ちゃうのかな?
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