彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
考えたけど。考えれば考えるほど無理って答えの方が大きくて。
やってみたいとかやってみちゃう?なんてことはたった一度も浮かんでこなかった。


「主任に同行させていただいて、すごく勉強になりました。でもそれはあくまで営業補佐としてです」

「残念ですね……もしかしていい答えが聞けるかと思ったのですが」


営業の話とか聞かせてくださいなんていったんだから、そうだよね?
前向きに検討するにあたって聞きたいって思ったに違いない。

本当の理由を知ったら、なんて思うか……


「あの、すみません。でも、私は社内で出来る限りの補佐をしたいと思ってます」

「意思は固そうですね?」

「……すみません」


私はただ、謝ることしか出来ない。
こればっかりは、ほんと主任の言うことは聞けないから。


「いえ、本人の意思が一番重要ですから」


最後はなんとなく納得してくれたようなそんな感じで。
それからは無言でテーブルの料理をつまむ。


この話の後でご飯誘うのとかってかなり無謀?っていうかありえないよね、展開的に。


んーんーんー

……どうしよう


「天ヶ瀬さん、最近。朔也の店行きましたか?」


私がなんて切り出そうなんて迷っている間にあっさりと主任の口からでた言葉。
あぁ朔也さんからも言っておくって言ってたっけ。

って、あれ?じゃあ何?
まさか主任、わかってて今ここにきてたりする?


「あ、えとバレンタインの限定メニューのときに」

「なるほど、……それで、ですね」


やっぱり、朔也さんの根回しは十分で。
ここでもう言うしかない状況がすっかり出来上がっている。
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