彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
お土産も買って大満足で水族館を後にする。
三時過ぎだからそのまま帰ったらちょうど夕飯時。
朔也さんのレストランには予約を入れてくれたみたいだけど、何時なのかは分からない。


「このまま帰ると少し早いんですが、」


あ。そうなんだ。
主任のことだから念のため、少し遅めの時間に予約したのかな?


「途中でお茶をゆっくり飲んでもいいですし。どこか行きたいところがあれば」

「私は水族館でもう、大満足ですから」

「……欲がないですね。ではどこかでお茶しますか」

「はい」


欲がないだなんてことないのに。
だってこんな風に主任といる時間が少しでも長く続きますようにって思ってる。

あいかわらず車の中では口数の少ない主任。
今日も車内ではラジオが流れている。

主任とはじめて社用車で外出した時、ラジオから流れてた曲も緊張で全く聞いてなくて。
せっかくその話をしてくれた主任に随分失礼な態度取ったなぁなんて思い返して。

……あの頃はこんな風に一緒に出かけることなんて考えられなかった。

今では少しでも長い時間一緒に居たいと思うなんて、人の心って随分簡単に変るんだな。
この先少しずつでも主任との距離が近づくことが出来たら……


一つずつ増えていく主任との思い出。
これからも増やしていけたらいいな。


帰り道の途中で見つけたカフェで休憩しつつお茶の時間。

おいしそうだった魚の話を持ち出しては主任は私をからかった。
朔也さんにもその話を絶対するとかなんとか。

だって、おいしそうが一番最初に頭の中に浮かんじゃったんだから仕方ないと思う。


たっぷり一時間は休憩して、今度こそレストランに向かう。
途中ちょっとだけ渋滞してレストランに付いたのは八時過ぎだった。
< 300 / 439 >

この作品をシェア

pagetop