彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
事務所を出たのは12時少し前だったのに、今はすでに1時前。

お腹空いたけど、外回りってなかなか食べるチャンスもないだろうからそこは言い出せない。


「遅くなりましたがお昼にしますか」


そう言って車が止まったのはおしゃれな外観のレストラン。

いくらランチをやってるとはいえ、お昼にイタリアン食べられるほどの余裕はないですよ?


「知り合いの店なので」

「……はい」


知り合いって、主任友達とかいるんだ。

こんな冷たい感じなのに、それも受け入れてくれる寛大な人ってこと?


そのまま車を駐車場に止めてお店へと向かう主任に遅れと取らないように追いかける。


「いらっしゃい」


おしゃれな外観のお店に似合いすぎるぐらいの素敵な笑顔で迎えてくれたのは


「遅かったじゃないか純哉」

「わりぃ、ちょっと一箇所寄ってきた」


は?!え?!何?
今、主任。わりぃって言った?


「30分で終わるようにしてあるから」

「いつも悪いな」

「ハハ、慣れてるよ。ところで純哉、こちらは?」

「あ、すみません、ご挨拶遅れました、堂地主任の下で働かせていただいてます天ヶ瀬です」

「ふぅーん。天ヶ瀬何ちゃん?」

「あ、天ヶ瀬桃華です」

「桃華ちゃんね。純哉の友達の朔也(サクヤ)です。よろしくね」

「いいから準備しろよ」

「大丈夫。スタッフに言ってあるから」


さっき乱暴な物言いって思ってたのは気のせいじゃないみたいで、主任の今までに見た事のない一面を見て驚いたというか……


「こちらにどうぞ」


二人のやり取りに口をパクパクさせてみていた私を朔也さんは席へと移動を促した。

シェフなのかな?いやパティシエとか?普通のスタッフではないとわかる朔也さんの服。


「本日のランチをお持ちしますので、こちらへどうぞ」

「あ、りがとうございます」


移動している間も、ここにきてからも主任は無言。


というわけで、私は頭の中の整理をはじめる。

どうやら主任のお友達らしい朔也さんはここで働いている人。
今知った情報はこれだけ。


「朔也は、大学の時の友達で、ここのオーナーシェフです」


あの若さで?
あの顔で?
いや顔は関係ないか。
でも、オーナーシェフとか、すごいでしょ。
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