彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
あっというまにランチメニューがテーブルに並べられて、静かに食べ始める主任。


私も「いただきます」と言って手を合わせて食べ始めたけど、それはもうビックリするほどおいしくて。

夢中になって食べていると主任が、


「たまにこないと朔也に怒られるんです。すみませんつきあわせてしまって」

「え、いや、あの、なかなかこういうところはこれないので、逆に連れてきてもらえて嬉しいというか……」

「朔也が喜ぶと思うので、よかったらたまにきてあげてください」


って、たまにこれるような気軽なお店じゃないことは歴然。

ランチとは言え、今日お財布にいくら入ってかななんて気になっているのに。

食後のコーヒーと何故か私にだけドルチェつき。


「桃華ちゃん、満足していただけたかな?」


このお店に入ってきたときと同じ極上の笑みを浮かべた朔也さん。


「あ、はい、とてもおいしかったです!」

「そう、それはよかった」


ふわっと笑うそれは、いただいたデザートを超えた甘さをたたえていて……

うわー。これっ。ヤバイです。
好みじゃなくてもとりあえずときめきそうな笑顔で。

ニコリともしない主任とは対照的。
性格が違う方が案外うまくいくってあれなのかな?


「おまえ、仕事しろよ」


突然の夢の世界をぶち壊したのは目の前に座る堂地主任で。
心なしか不機嫌なご様子。


「フフ。まぁ今度は桃華ちゃんと夜に来いよ。ワインぐらいご馳走してやるから」

「夜とかムリ」

「そんな事言ってるからいつまでたっても―――」
「そのうち、な」

「桃華ちゃんと一緒じゃないと入れてやらないからな」

「……んだよ、それ」

「ね、桃華ちゃん。夜にも来てみたいよね?」

「ぇ。」


ちらりと主任を見ると、やっぱり口をへの字に曲げていて.

来てみたいかそうじゃないかっていったら、もちろん答えは一つで。


「あの、是非……」

「ほら。じゃあ、待ってるからね」

「ったよ」

「純哉も承諾してくれたし、待ってるね」


ていうか、何で私、ここで主任のお友達とこんな約束してるんでしょうか。
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