彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
あぁ、それより。電話でわざわざ話したいことってなんだろ?


「主任?どうしたんですか?」

『主任じゃない。モモ、言いなおして』

「え?あ、はい。あの……ジュン、さん?」

『ん。モモ、何考えてた?』


何って?
何かわかんないから考えてたのに。


「あの、えと。わかってないとかなんのことかと……」

『ハァー』


主任のこの盛大な溜息を聞くたびにびくっとなる。
また私なんか間違えちゃった?って。


『モモ、』


何度となく呼ばれる名前。
主任はジュンさんとしてあらわれてからずっと私の事をそう呼んでくれる。
甘く耳に響くその声で。


「はいっ」

『何でわからないんですか?』

「え、あの、だって。」

『みんなわかってるのに、モモだけわからないみたいですが?』

「え、なんで?ですかね?」


へへ、ってちょっと笑って言ってみたのに。
全く主任には通じてなくて、それどころか、


『わかりました。金曜日そちらに行きますから、ゆっくり三日かけてわからせてあげますから』

「はい?あの。金曜日、ですか?」

『はい、金曜の夜から日曜の夜まであけておいてください』

「…わかりました、けど……」


週末の予定まで押さえられた。
そちらに、行く?
えと、だって来たばかりで。てか帰ったばかりで……


『あと住所も、メールしておいてください』

「え?あ、はい。わかりました」


って、そこで電話が切れたんだけど。
えっと、なんだったんだろ?
住所?
それ知ってどうするんだろ?主任。


しかも私は一番大事なこと聞き逃していた。
“ゆっくり三日かけてわからせてあげますから”という主任のセリフを。



それから、雪姫さんに散々からかわれて。
リズさんはすっかりおしゃべりなキャラに変わってて。

みんなに実際会ったことでますます身近に感じて良かったんだけど、なんか前よりも……
みんなにいじられてる気がするのは気のせいでしょうか?



そして二日後。
私のもとに届いた荷物は、ヘッドセッドが一つ。
メッセージも何もなくて依頼人の名前が主任だったっていうだけで。

とりあえず、届いたことだけメールを入れると。

『モモのだから』

とだけ回答があって、それきり。

主任あいかわらず圧倒的に言葉が足りません。
ともかく、一から十まで全部教えてくれないとわかんない。
もちろん本人には言えない文句を口にするとPCの電源を入れた。
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