彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
鍵をあけて部屋の中に入り、壁にある部屋の照明のスイッチに手を伸ばす。
まっすぐテーブルの前まで行くとそこにお弁当の袋を置いてほっと一息ついた。

誰もいない部屋に帰ってくると「おつかれさま」と口に出して言う。

「ただいま」って言って「おかえり」って返ってこないのはやっぱり寂しいから。この家では、あえて「ただいま」じゃなくて「おつかれ」

今日も頑張ったねって自分で自分を褒めてあげる。だって一人暮らしだし、誰も褒めてなんてくれない。

なんとなく、これでリセットできているような気がする。


お湯を沸かしている間にルームウエアに着替える。

一人暮らしを始めた頃は、おしゃれなルームウエアでくつろぐ自分を想像して色々かわいいのも買ったけど、結局は楽なのが一番。

彼もいないし誰も見ない。だからかわいいのを着たって……、


「彼かぁ」


そろそろ欲しいなぁ。
学生の時に付き合ってた彼とは就職と同時に疎遠になってそのまま別れた。

今思えば、毎日一緒にいられるから付き合ってたのかもしれない。

彼と遠距離になるってわかった時、寂しいって気持ちよりも別れの予感を感じてたし。

きっとそこまで好きじゃなかったのかも。


世の中には大恋愛の末、結婚!とか、好きで好きでどうしようもなくて眠れない!そんな話も聞くけど、それってどういう感じなのか私にはまったくわかんない。

高校の時から何人か彼という存在がいたけど、そこまでの気持ちなんてなくて、付き合って欲しいって言われて嫌じゃなければ付き合ってたみたいな感じ。

当時はそれなりに好きだとは思ってたけど、今思えばそこまでの好きじゃなかったのかな。

でも運命の出会いなんてそうそうその辺に転がってる訳ないから。ましてやそれが、私の真上におちてくるなんて事、あるわけない。
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