キミは俺のモノでしょ
大概のことは、なんなくこなす俺と

トロくて口下手で頭も要領も悪い、うらら。


そんな真逆なタイプの俺たちが、

なんのステップも踏まずに、

形だけの『兄妹』になった。


「うららー、さっさとしなさい。雅くんもうとっくに支度できてるよ」

「ごめんなさいっ……」


馬が合わなくて当然だと思う。

だって他人だから。


きっと、うららでなくても

たとえそれが誰だとしても

俺は受け入れはしなかっただろう。


とにかく自分のテリトリーを荒らされていること自体が赦せなかった。


視界に入るだけで

声が聞こえてくるだけで

不快でたまらなかった。


出逢った当初から、


「お兄ちゃん、宿題の本読み、聞いてくれる?」

「……いいよ」


うららは常に俺をイラつかせる存在だった。
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