キミは俺のモノでしょ
だけど俺は幼心に理解していた。


……これが。

こんな毎日を過ごすのが、俺の置かれた立場であると。

だから、それに反しないように心がけた。


うららとは、よく遊んだ。

部屋でパズルをしたり公園に出向いたり。


雫さんに『ご飯作るから二人で遊んでいてね』などと言われたからそれに従ったまでだ。


不本意だった。

自由時間の使い道を他人に決められるのは。


“なにが楽しくて話したくないことを話し、やりたくないことをやらなきゃならない?”


そんな疑問がチラつかない日はなかった。


『二人で眠れるように買ったの』


欲しくもない二段ベッドを用意された。


『一緒にお風呂入ってらっしゃい』


そんなところでも他人といなきゃならい意味がわからなかった。


うららと何かするたび、『こうしておけば父と雫さんは納得するだろう』というイメージで求められた兄像を演じた。


演じただけで、口から出る言葉も向ける表情も俺の本音とはかけ離れたものだった。
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