キミは俺のモノでしょ
眠い目をこすりながら、パジャマ姿ですぐそばに立つうらら。

そっと部屋を出たつもりが起こしてしまったらしい。

そして俺のあとを、追ってきたんだ。


うららは、いつも俺の金魚のフンみたいにうしろをついてまわっていた。

表面上優しく接していた俺のこと、『いいお兄ちゃん』とでも思っていたのだろう。


学校の友人より実の母である雫さんより誰よりも、俺に心を開いていたと思う。


もっとも、うららに友人がいたかどうかなんてほんとのところはクラスの違う俺にはわからない。


だけど家で一人くらい名前があがっても不思議じゃないクラスメイトの名を口にしなかったし、友人の家に行く気配もなければ家に連れてくる様子もなかったあたり、俺の憶測は当たっているだろう。


うららに最も近い存在――それが、俺だった。
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