キミは俺のモノでしょ
田村くんが視線を入口に向け、同じようにそっちに目を向ける永浜くん。

架里奈とわたしもつられて前方のドア付近を見ると、こっちを覗いているひとりの少女を視界に確認できた。


「はやく行ってやれよ」


バシッと永浜くんの背中を叩く、田村くん。


「……あー、うん」

「羨ましいやつめ」


背を向けてドアの方へと歩いていく永浜くん。


「……桜井紡(つむぎ)。可愛いよね」

桜井さんのところまで向かう永浜くんを見つめ、架里奈がぽつりとつぶやく。


「そうだね」


髪がサラサラして綺麗だなって、すれ違ったときにとても印象だった。


わたしの中途半端に伸ばしている地毛なのにちょっと茶色い髪と違って、腰まである漆黒って色味がピッタリな黒髪は一体何年切るのを我慢したらあんなに長くなるのだろう。

シャンプーのCMに登場しそうな綺麗さで。

背が高いし細いし、雪のように白いし、モデルさんにだってなれちゃいそう。
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