キミは俺のモノでしょ
そういえば永浜くんって、クラスの子に『髪切った? すげぇ似合ってる、可愛い』なんて挨拶がわりに言うし、誰とでも明るく話している。


気さくなおかげで忘れそうになるが、明らかにスクールカースト上位に匹敵するタイプの人だ。


「あたしらと三人でいるときはフレンドリーって感じだけど、女の扱いすごい慣れててさぁ。女と二人でいるときの永浜って、全然違うんだよ」

「……?」


架里奈の言葉の意味がわからない。


「違うって?」

「それは……まあ、とにかくめちゃくちゃチャラい。永浜は」

「そうなんだ?」

「うん。すっごくチャラい」


やたら強調していってくるけど、チャラいって厳密にいえばどんな人のことだろうか。


「地獄に堕ちろ、永浜」

「え!?」


さっき一瞬だけ落ち込んだように見えた架里奈が、今度は不機嫌になる。


十分くらいたった頃、永浜くんが教室に姿を現した。

田村くんが「今日のヒーローは、永浜政次くんです」なんてヒーローインタビューのごとくマイクを向けるフリをするが(ただし向けているのは筆箱だ)、それをスルーしてこっちまで歩いてくる。

されたのかな。

桜井さんに、告白……。


「くれよ」


返事を待つ前に架里奈のお菓子に手をつける。

カップに入っているスティック状のスナック菓子だ。
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