キミは俺のモノでしょ
ひとけのない廊下にやってくる。

架里奈は果たしてどこへ行ったのか……。


「屋上行ってみない?」

「あ、うん」

「行ったことねーけど。入れたりするのかな」


屋上へと続く階段を一緒にのぼり始める。


「ねぇ、永浜くん」

「ん?」

「どうしてあそこまで言っちゃったの……?」


努力してること、知ってるのに。


「どうしてもバカにされたくなかった。俺の……」


永浜くんの言葉が、一瞬途切れたけれど

そのあとまた、口を開いた。


「俺の、夢のこと」

「……夢?」

「誰にも話してない。ほら、俺って努力とか似合わないキャラじゃん?」

「??」

「適当に生きてなんとなく成功してるイメージあるのに、いきなり『実はマジで叶えたい夢がある』なんて言えねーよ」
< 160 / 438 >

この作品をシェア

pagetop