キミは俺のモノでしょ
「そんな……」

「それにな、うらら。残念ながらその夢、一筋縄ではいかないんだわ」

「……お医者さんとか?」

「ああ、それなら俺絶対無理。勉強ほんとできないから」


はは、と笑ってみせる永浜くん。


「頭良いにこしたことはないけど、学校の勉強とはまた違う頭の良さが必要になってくる。機転をきかせられるようになったり、センスを磨いたり」

「そっか」

「そのために、はやいうちから経験つんでおいた方がいいと思って色々やってみてるわけ。俺なりに、夢に向かって」

「なるほど」

「テスト前とかそんなの関係なく、容赦なしにチャンスは巡ってくるわけでさぁ。俺はそっち優先させてる。これからも。たとえ留年しようが」

「え!?」

「はやく夢を叶えたい気持ちはあるけど、スカスカなまま身体だけ成長してもな?」

「……すごいね」

「全然すごかねーよ。夢も学業も両立させてる天才だっているんだ。俺なんてまだまだ小僧すぎる」


夢があるだけで凄い。

それを叶えようと行動にうつしているのもすごい。


「だけど絶対叶えてみせる」


そういう永浜くんの目は、輝いていた。


もしかして……


伊勢谷先生がいつか言っていた、熱い夢を持ってるクラスメイトって。


永浜くんのことだったのかな。
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