キミは俺のモノでしょ
◆
――あの日。
「お兄ちゃんっ……」
突然悲しげな表情を向けてきた兄を、わたしは、抱きしめた。
正面から。布団の中で。
すると、兄は、眠ってしまった。
力が抜けた兄の重みをずっしりと全身で感じた。
……温もりも。
それは心地よすぎるほどにあたたかくて。
ドキドキが鳴り止まなかった。
よほど疲れていたのだろう兄は、起きる気配がなくて……。
そっと隣に寝かせ、わたしはシャワーに向かおうとしたのだけれど。
――離れたく、なかった。