キミは俺のモノでしょ
帰宅すると誰もいないリビングのソファに寝転がった。

この時間、たいてい母は会社、兄は塾にいる。


再婚後はしばらく専業主婦をしていた母だけれど、わたしが小学校にあがった頃にはフルタイムで働き始めた。

兄は言わずもがな大学進学に向けて勉学に励んでいる。


お義父さんは夜遅くに帰ってきて次に顔を合わせるのは明日の朝になるか……

最近は帰ってこない日だって珍しくない。泊まりの仕事が入っていたり、事務所で寝泊まりしているみたい。


そんなこんなで、家族四人でゆっくり過ごす時間がない。

みんな忙しいから仕方ないことだとはわかっていても、広い家にポツリとひとり過ごすのもなかなか寂しいもので。

意味もなく見もしないテレビをただ寂しさを紛らわせるためにつけたりもする。


たった今リモコンでオンにした大型液晶テレビに映し出されたのは、昔やっていたドラマの再放送らしき画面。

男女が手を繋いで仲良さげに夜の街を歩いているシーンに差し掛かる。


「……Wデート、かぁ」
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