キミは俺のモノでしょ











『お兄ちゃん?』


どうしてお兄ちゃんが、わたしのベッドにいるの?


『うなされていたからだよ』


ああ、そうか。

怖い夢みたから。


優しいなぁ、お兄ちゃんは。

わたしのそばにいてくれたんだ。


でも……


わたし、どんな夢をみていたんだっけ?


わからない。


思い出せない。


『——バカなの?』

『いつまでもうじうじしないでよ』

『ほんと……こういうの、時間の無駄』


あれ。

これは……夢じゃない。

昔の記憶だ。

いつだっけ。

まだ小さい頃に怖い夢をみて兄に手を焼かせて。

兄のこと、怒らせてしまった。


『悪い子だな?』


兄にそう言われるのが嫌でいい子になりたいと思った。


だけどわたしは……

いい子になれたのだろうか。


きっと、答えはノーだ。


成績不良だし。

兄のこと、相変わらずイライラさせているし。
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