キミは俺のモノでしょ
「あ、えと、おはよ、」


……じゃなくて!!


「おかえり、お兄ちゃん」

「なにか用?」


……普通だ。

冷めた顔つきでわたしを見下ろす兄は、いつもの兄だ。


「なんなの。邪魔しに来たの」


兄にそんなことを言われれば萎縮すらしてしまっていたわたしだが、最近はこんな顔すら向けられていなかったのでどこか懐かしい。


って、なんでここで安心してるんだわたし!?


「違っ……けっして邪魔したいわけでは」

「でもしてるよね。今まさに」

「勉強中だった?」

「当たり前」

「偉いね。お兄ちゃん、本当にいつも勉強してて」

「そんなくだらないこと言いにきたなら消えてくれる?」

「ちがっ……」

「……誰のせいだと思ってるの」

「え?」


今、なんて……?


「ほら、はやく。用件を10字以内で述べて。手短に」


10字は短すぎるよ!?


「『きょうがっこうで』……ああ、これだともう8字だ」


指折り数えて困惑していると、フッと兄が噴き出した。


「ホントどんくさいなぁ。うららは」


そういって笑う。


「……!!」

「なに?」


お兄ちゃんって。

お兄ちゃんって……。


こんなに笑顔素敵だったっけ?
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