キミは俺のモノでしょ
わたしに笑いかけてくれたことあったっけ?

いや、よく笑うけど、それはとても悪い顔してるときだよね?


けっして今みたいに優しい笑顔ではないよね!?


「顔赤いよ」

「へっ」

「……熱でもあるんじゃない?」


いやいや。ないよ。


「俺にうつさないでね?」

「っ、ないもん……熱なんて」

「嘘だ」


——急に顔を近づけてくると、


コツン


「!!!」


兄とわたしのおでこが、ぶつかった。


「……わっ!!!」


慌てて兄から顔を離す。


「ほら。すごく熱い」


違うよ。これは。


「お兄ちゃんがっ……」

「俺が、なに?」


どうして離れないの?

どうしてそんなに近くにいるの?


「ねぇ。うらら。俺が……なに?」


——出た。


悪魔みたいな、悪い顔。


この顔だ。いつもの兄の顔は。

< 193 / 438 >

この作品をシェア

pagetop