キミは俺のモノでしょ
世の中には自分の進む道を自分で決められない人だっているというのに。

与えられた自由を活かせやしない。


「悩んでるねぇ」


伊勢谷先生が教室にやってきた。


「すみません。もう、帰った方がいいですか」

「いや、そんなことないよ。下校時刻はまだまだ先だからな」

「…………」

「こんなこというのもアレだけど。ほとんどの人がとりあえず進学に丸つけてる。その中で学校名まで書けてるのは僅かだな」

「……え?」

「言ったろ、焦んなくていいって。あくまで希望調査なんだ。これ書いたからってその通りにする必要もなければ、書けないからってへこむこともねーよ」


まただ。

また、伊勢谷先生の言葉がわたしの胸をすっと軽くしてくれる。
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