キミは俺のモノでしょ
「——バカなの?」
気持ちのいい空気とは裏腹に、駅に向かう兄の機嫌は出だしからこの通り最悪だ。
「な、なにが?」
「まだ7時だよ」
「開園に間に合うためにはこの時間に出なきゃ……」
「だからそれがバカなのって言ってんの。一日中いる気?」
「そうみたい。せっかくだから、最初から最後までいようってみんな張り切ってた。全部乗ってやる! って」
「……ありえない」
明らかに気が立っている兄だけれど、すれ違う人(とくに女の子)が振り返るくらいの色男である。
イライラしている姿でさえ絵になるのだから凄い。
背が高いし基本的には落ち着きがあるせいか私服だと高校1年生にまず見えない。
大人っぽい。
……カッコいい。
って、カッコイイ!?
なに考えてるのわたし。
でも……
一緒にこうして歩いてると、はたから見ると、カップルみたいに見えちゃったりなんかするのだろうか。