キミは俺のモノでしょ
なんていうか、兄は、他人に壁を作っている。

絶対に自分の心のうちを明かさないというか。


だから『完璧男が余裕なくなるところ見てみたい』と架里奈が言っていたけど、そんな姿は晒さないと思う。


あくまで兄は、わたしの理想の兄であり、優等生であり、完璧な同級生の男子を演じ切るはずだ。


「にしても、田村来ないね」

「あいつ来る気あんのか?」


架里奈と永浜くんが時計を確認する。


待ち合わせの時間を少しすぎた、そのとき。


「わり、お待たせ」


航太くんが現れた。


……あの子と一緒に。
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