キミは俺のモノでしょ
「……げ」小さな声で架里奈がそういったのを、わたしは聞き逃さなかった。


「おはよう」

ニッコリ微笑んで挨拶する、天使みたいに可愛い子。

知ってる。


「……桜井」


永浜くんが、最初に彼女の名を呼んだ。


いつか、永浜くんに会いに教室までやってきた子。

学年でも一、二を争う美少女。


その桜井紡と一緒に、航太くんは現れた。


花柄のワンピースに少しヒールのあるパンプス。

とても遊園地っぽい格好ではないけれど、やっぱり私服姿も可愛い。


「久しぶり、永浜くん。話すのはあのとき以来かな?」

「……そうだな」

「ああ、心配しないで? つむぎ、もうあなたのこと、これっぽっちも好きじゃないから」


——へ?


「今は、雅くん一筋だから」


そういって、桜井さんは兄に駆け寄ると——兄に腕を組んだ。
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