キミは俺のモノでしょ
ゴォゴォと聞こえてくるレールの上をコースターが走る音。

そして、

『きゃぁぁあああ!!!』という……悲鳴。


きっとその多くは歓喜によるものだろう。

だけどわたしがアレに乗ると本気で叫ぶんだろうな。

気絶したらどうしよう。


「なあ、架里奈。待ち時間結構あるぞ。45分だってさ」


永浜くんが腕を組んで電子掲示板の文字を読む。


「ええ? まだ開園して間もないのに」

「さすが一番人気だけあるな」

「だね。並ぼうか。みんなで話してたらきっとあっという間だよ」


高いし速いってだけでも恐怖なのに。

その恐怖を待つ時間が45分もあるなんて、更に怖いのだけれども。


「つむぎ、雅くんのとなりーっ!」

「ちょっと、桜井紡。さっきから雅くんに引っ付きすぎ。独り占め禁止!」

「架里奈こわーい」

「……なに名前で呼んでんの?」

「もうつむぎたち、友達だよね?」

「あんたさぁ。話さなきゃ可愛いのに」

「えぇ……。話したら?」

「ドン引き」

「ひっどーい!!」


頬を膨らまして上目使いで架里奈を見つめる桜井さん。


「そのキャラやめたら? もっと普通にできるんでしょ?」

「キャラじゃないもん。これが素だもん」

「はいはいワロスワロス」

「なにそれーっ」


なんだかんだ、はやくも桜井さんと架里奈が打ち解けてきているような気がする。

だって架里奈はほんとに苦手な子とは話さないと思うから。
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