キミは俺のモノでしょ
少し歩いた先にあったお店でアイスを買って「はい、どーぞ」と渡してくれた、航太くん。


「あっ、お金、」

「いいからいいから」

「でも……」

「バイト代入ったとこだから。大人しく奢られとけって」

「……ありがとう」


バイトかぁ。どんなことしてるんだろう。


「そこ座ろ」


そう言われて近くのベンチに二人で腰掛ける。


「っ、」

「ん? どした?」

「なんでも……ない」


思ったより近くに座られて一瞬ビックリした。

このくらいの距離感、友達なら普通なのだろうか。

肩と肩がぶつかってしまいそう……。


「苺で良かった?」

「うん。あ、でも航太くんはバニラで良かった?」

「いいよ。どっちも好きだから」


パークを眺めながら食べるアイスは格別に美味しい。

ほんとにわたし、来たんだ。

遊園地に。

友達と一緒に。

それから……兄と、一緒に。
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