キミは俺のモノでしょ
いつの間に……!?


「お前さえ良かったら、二人でまわろうよ。その方が俺は嬉しいし……うららも乗れないやつ乗ろうって無理しなくていいし、あいつらも気兼ねなく絶叫乗れるだろ?」

「それはそうだけど……。せっかくみんなできたのに」

「“せっかくお兄ちゃんと来たのに?”」

「……!!」

「やっぱりあいつが気になってる?」

「…………」


「――溶けてる」


——!?


「アイス。そのままだと服汚すよ?」

「お兄ちゃんっ……!」


顔をあげると、目と鼻の先に兄が立っていた。


桜井さんは、いないみたい。

架里奈も永浜くんも。


「ほんとだ……はやく食べちゃわないと、」


アイスを顔に近づけた、

次の瞬間。


「そんなの食うな」


――!?


グイッと腕を引かれ、ベンチから立ち上がらされ、はずみで反対の手に持っていたアイスを地面に落としてしまった。


「あ……」


せっかく航太くんが買ってくれたのに。


「戻るよ、みんなのとこ」

「ま、待って」


航太くんに、謝らなきゃ。


「待たない」

「……っ」

腕に力が加えられる。


「おい、やめろよ。うらら痛がってる」


航太くんが兄の肩に手を置いた瞬間、


「俺に触るな」


兄が航太くんの手を振り払った。
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