キミは俺のモノでしょ
「な。別にカッコいい話でもなんでもなかったろ?」

「…………」

「いつどこで将来のこと決めるかなんて、ほんとわかんないもんでさ。世の中には就職してから夢を見つける人だっているんだし。まだ15のお前が決められないのも悩むのも無理ねーよ」

「ありがとうございます」

「お礼なんていらねーって。つーか、あんまり真面目に話しすぎると年寄りの説教臭くなりそうだな?」

「そんなことないです……!」


先生はたしかにわたしよりは10も年上ですが。

優しいお兄さんという雰囲気だ。


説教なんて、とんでもない。


「来栖ってさぁ」

「?」

「結構表情豊かだな」

「……!!」

「もっとクールなやつかと思ってた。いつも大人しいから。可愛い顔するじゃん」

「…………」

「あ、またこんなこと言っちゃセクハラとか怒られちまうな。田村とか永浜あたりに」


その二人は、よく先生のことを茶化すクラスメイトの男子の名字だ。
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