キミは俺のモノでしょ
睨み合う二人。


「なんだよ。優等生も、そんな顔すんのかよ?」


兄が他人を睨みつけるなんて、あり得ないと思ってた。

いつも澄ました顔してる兄が。

ものすごい剣幕で航太くんのことみてる。


「いつもは仮面かぶってんだな?」

「……君はもう少し協調性持てば?」


まずい。喧嘩になっちゃう。


「お兄ちゃんごめんっ……いきなり抜けて。でもね、航太くんはわたしが怖がってるのに気づいて連れ出してくれて……」

「うららが怖がりなの利用してうららと二人きりになったんだ?」

「ちょっと、そんな言い方……」

「悪いか? 俺がお前の“妹”独り占めしちゃ」

「うららを独り占め? なんだって君がそんなことするの?」

「うっせぇ。紡はどうしたんだよ。置いてきたのか?」

「あの子は君が用意した駒なの?」

「さすが。お見通しってわけだ?」

「無意味だよ。俺にそういうことしても」
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