キミは俺のモノでしょ
「愚痴というか……困ってるといいますか」

「悩める少女か」

「家のことなので、友達に話せなくて」

「家のこと?」

「お母さんが……その、帰って来ないんです」

「!」

「いや、あの、どこにいるとかはわかりますし。一応連絡もとれます。ご飯買うお金も、もらったりしてます」


先生は目を見開いたあと、笑って頭にポンと手を乗せてきた。


「兄ちゃんは、なんて?」

「へっ……?」

「相談してる?」

「いや、お兄ちゃんにはなにも……。いつも通りといいますか」


驚いているのはわたしだけだ。

こんなことになっても動揺ひとつ見せない兄。
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