キミは俺のモノでしょ
「仕事忙しいの? お父さん」

「はい」

「そっか。どうしちゃったんだろうね、お母さん」

「ほんとに……」

「ってことは、なんだ。今は兄ちゃんと二人で暮らしてるようなもん?」

「そうですね」

「ひとりだと心細いけどあいつが一緒ならそんなこともないか」

「……いてくれて良かったです」


相変わらず嫌味なら散々言われているが、目立ったイジワルはされていない。


「手出して」

「?」


言われるがままに左手を差し出すと、先生が胸ポケットから取り出したマジックでなにか書いてきた。


「ちょっ……」

「だいじょーぶ。これ、水性だから」


なら、洗えば簡単に落ちるのかな。


……なんて考えていると、

書かれたのは8桁の数字だった。


「教師として見過ごしていいものか、ちと悩ましいが。とりあえずは聞かなかったことにしておいてやろう。あんまり公にされたくないから、ここで考えごとしてたんだろ?」

「先生……」

「大人の力が必要そうならいくらでもどーぞ」

「!」

「頭に『080』つけたらもれなく俺に繋がるから。頼っていいよ。担任としてでも。俺個人でも」

「っ、はい……。ありがとうございます」
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