キミは俺のモノでしょ
「本題はそこじゃねーだろ?」と航太くん。


そうそう。

わたしが困っているのは母が帰ってこないところで……


「だよねぇ。雅くんとドッキドキの二人暮らしスタートしてるってとこだよね!?」

「いや、そこでもねーだろ」

今度は永浜くんが突っ込む。


二人暮らしではないよ?

“ほぼ二人暮らし”ではあるけど。


「いや、そこだろ。一番あぶねーだろ」

「航太までなにいってんの」


ついに永浜くんだけがツッコミ役にまわってしまった。


「あんなオオカミとうらら二人で大丈夫なのかよ」

「オオカミは航太でしょ?」

「意味がちげーよ」

「……たしかに、あの優等生くんはオオカミ少年だね」

納得する架里奈に「俺もそんな気がする」と、永浜くん。


オオカミ少年?


「オオカミっていうよりはカメレオンだよねぇ」

「いえてる」


みんなが兄の別の顔に気づき始めている。

これまで誰にもバレなかったことなのに。
< 322 / 438 >

この作品をシェア

pagetop