キミは俺のモノでしょ
『お兄ちゃんは、わたしを苛めて楽しんでた』なんて言えるわけないっ……。


「あれは、人混みに酔ったりして疲れてたからじゃないかな」

「それでうららと二人きり?」

「っ、多分……」


間違ってはいないはず。


「ね、ねぇ。航汰くんがあたしを連れてったあとって? お兄ちゃんなんかあったの?」


すると、架里奈と永浜くんが顔を見合わせた。


「怖かったよねぇ」

「ああ」

「……怖かったの?」

「気が立ってたよぉ」

「桜井は気づいてなかったが」

「あたしと永浜はわかったよね? 一瞬で空気が凍ったのが」


空気が……凍った?


「航太から俺に『このあと2人でまわる』って連絡きたの知ると、すっ飛んでったもんな」

「うんうん」

「雅もあんな風に取り乱すんだなってのが率直な感想」

「ま、待って。それって、わたしを絶叫マシンに乗せられなかったから怒ったんじゃないのかな……?」

「絶対ちがうだろ」


そんなことない。

だって、そもそもに兄は、わたしの怖がる顔を見たくて遊園地についてきたんだもん。
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