キミは俺のモノでしょ
「目ざといな」ボソッと永浜くんがつぶやいた。


「帰るよ、うらら」

「塾は?」

「今日は、行かない」

「行かないの?」

「帰ってやること山ほどあるでしょ」


あっそうだ。家のことしないと……!


「洗濯ものならわたしやっとくし。ごはんも心配いらないよ?」

「あ。あたしら事情聞いてるから。安心してくれていいよ?」

架里奈が兄にそういうが、兄は無視して続けた。


「うらら、傘持ってきてないでしょ」

「え?」


兄が窓の外をみてからわたしを見る。


「ひとふりきそう。その前に帰るよ」


「過保護な兄貴だな。やっぱり保護者みてぇ」

と、永浜くん。


「……俺はうららの兄じゃない」

「は?」

「行くよ、うらら」
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