キミは俺のモノでしょ
「架里奈も永浜くんも、話聞いてくれてありがとう……!」


「またねぇ」

「おう」


帰り道、兄はスタスタといつも以上に早足で歩いた。


「待……ひゃっ、」


だからわたしは兄に追いつこうと必死で。

慌てたら、躓いてこけてしまった。


「はやく立てよ」


手なんて差し出してくれない。

高いところから、ただわたしを見下ろす兄。


「っ……いた、」


膝を擦りむいた。


「どんくさ」

「ごめん」

「三半規管機能してる?」

「サンハン……え、なに?」

「……ほんと、バカ」


そういうと行ってしまった。


仕方なく立ち上がりゆっくり歩いていると、


「……あれ?」


すぐに兄が戻ってきた。


「どうしたの、お兄ちゃん。忘れ物?」

「……忘れモノもなにも。置いてってないし」
< 331 / 438 >

この作品をシェア

pagetop