キミは俺のモノでしょ
「そう思うなら一秒でもはやく風呂場に向かえば?」

「それはそうだけど」


いいのかな。わたしがとろとろしてて兄が巻き添えくらったようなものなのに。


「なに。俺に譲ろうとしてる?」

「あ……うん。わたしはあとでもいい……」

「それとも、一緒に入りたい?」


――え?


「入る?」

「へっ……」

「久々に。俺は別にいいよ?」

「な、そんなの、無理……!」

「だったらさっさと行け。グズ」


急かされ先にお風呂をいただいてしまった。


「あったまる……」


――“俺は別にいいよ?”


……いいわけない。

一緒に入っていたのは昔の話で。

お互いなんにも意識してなかったし。

身体だって今と全然違ったし。

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