キミは俺のモノでしょ


お風呂からあがりリビングに向かう。


「お兄ちゃん、お先……」


ソファにかける兄の後ろ姿が見えたので声をかけたら、すっかりスウェット姿になった兄がソファで眠っていた。


服は着替えたみたいだけど髪がまだ濡れている。


「風邪、ひいちゃうよ……?」


疲れてるんだ。やっぱり先に入ってもらえばよかった。

そうだ。

今のうちに洗濯たたんだりご飯作っておこう。

わたしがやると時間かかっちゃうけど、なにもかも兄に任せるわけにはいかない。


でも、先に……。


乾いたタオルを持ってくると、そっと、兄の髪にかけた。


短いからタオルドライでも十分かわくはず。

そっと。

起きないように、ふこう……。


「静かに寝かせてあげようって気遣いもできないの?」


――え?


パチリと瞼を開け、まっすぐにわたしを見つめてくる。
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