キミは俺のモノでしょ
「大丈夫。悲しむ必要なんてない」


その一言で、すっと悲しみが溶けていく。

ここまで安心感を与えてくれる。


「全部、うららのことだった」

「……え?」

「うららに気をつけてあげてほしいこと。うららの好きなもの、苦手なもの。かかりつけの病院だって書いてあった」

「なんで……そんなこと……」

「心配なんだよ。娘だから」

「だって。いつもお兄ちゃんのことばかり、可愛がっていたのに……」


まるで本当の息子のように。

兄は母の自慢の息子でしょ?


「なんにもわかってないね? うららは」

「なにが?」

「実の娘だからこそ厳しかったんだよ」

「!」

「俺に対してやたらと評価してたのは、俺が優秀すぎたのもあるけど、俺とそうやってコミュニケーションとろうとはかってくれてたんだと思うよ」
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