キミは俺のモノでしょ
雫さんがどこまでうららに“真実”を語るかなんてことは俺にはわからない。


だけど俺は、せめてうららの中では、この家での“家族みんな”での思い出が悲しいものでなければいいと思う。


クズな父さんもうららの中では紳士でいればいい。


雫さんの作り笑顔にも気づかなくていい。


そして俺のことだけは、思い出したくないくらい大嫌いになればいい。


最低最悪な兄がいたって。


そうすれば未練なくサヨナラできるでしょ。


俺なんて忘れて誰かと楽しく生きるられるでしょ。


うららが俺を大好きなうちは、きっと、雫さんだってうららを俺から離しはしない。


うららが俺に引っ付いてるから連れていきにくかったのもあるにきまってる。


だって俺が、何年もかけてそう仕向けてきたから。


たとえどんなことがあってもうららとの繋がりを途絶えないための作戦だから。


だけどそのせいで雫さんは俺にあの男の影を見なきゃならない。


それなら俺たちはまったくの赤の他人に戻ればいい。


俺が、俺の手で切ってあげる。


あなたたちとの繋がりを。


うららの中で占める、デカすぎる俺の割合を、消してあげる。
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