キミは俺のモノでしょ
「知り……たい」

「教えてやろうか。俺のいちばん欲しいモノ」

「……うん」

「鎖巻きつけてでも手元に留めておきたいモノ」

「うん」




「……お前だよ……」




その言葉に

ドクン、と心臓が大きく波打つ。

そのあとも、ドクドクと激しく鼓動し続ける。


「早く逃げなきゃ、このまま俺のモノにしちゃうよ?」

「……逃げないっ」

「いいの? 止まらないよ?……たとえうららが泣いても。叫んでも」

「泣かないもんっ……」

「どうかな。俺がうららにどんなことしたいか、うららは全然わかってないよね。うららに俺のモノになる覚悟なんてないよね?」

「…………」

「ほらね。ないんでしょ……」

「ある」

「!」

「わたしは……お兄ちゃんになら、なにされてもいいよ?」

「…………」

「わたし……わたしね。お兄ちゃんが、だいすきだよ」

「みんなにそんなこと言ってるの?」

「そんなわけないでしょ。観覧車の中で言おうとしたこと。言おうとして止められたこと。今ならハッキリわかるし言える」

「…………」

「好きだよ。好きなの。わたし、お兄ちゃんが……」

「うるさい」


そういって、兄が、


――わたしをギュッと抱きしめた。
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