キミは俺のモノでしょ
ドクンドクンと響いてるのは、なにもわたしの心臓だけじゃなくて。

お兄ちゃんの心臓もまた、大きく鼓動している。

それが、伝わってくる。


「風邪……わたしにうつしたら、お兄ちゃんラクになるね」

「バカなの?」

「バカは風邪ひかないもん」

「……いいよ。ひけばいい。とびきり苦しいやつ」

「イジワル。なにもそこまで言わなくても、」

「そのときは、今度は俺が看てあげるから」

「……!!」

「学校休んで。つきっきりで。辛そうなうららの一番近くで俺がうららの支えになる」


な、なにそれ。

逆に風邪ひきたくなってしまいそうなやつだ。


「汗かくたびに着替えさせてあげる」

「へっ?」

「うららの身体、ふいてあげる。隅々まで」

「!?」

「それから、いつもより二度も三度も高いうららの体温を一緒に感じてあげる」

「一緒に……感じるっ?……お兄ちゃんも?」

「あのさ。そんな風に呼ばれると、色々やりにくいものがあるんだけど」

「やりにくい?」

「……やっぱりうららは子供だね」

「そんなこと……」

「俺の頭の中のぞいたらビックリして死ぬんじゃない?」
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