キミは俺のモノでしょ



「思い……出した」



どうして忘れていたんだろう。

こんな大事なこと。



兄はわたしをのけものにしていたわけじゃなかった。

母にはわたしに言えない秘密があった。



わたしが尊敬してきた父には、

こんな一面があった……!!



「雅っ」


部屋に入るとぐったりと床に座り込む雅の姿があった。


「っ……」


言葉が出てこない。


「うららちゃん……向こうに行ってなさい」

「お義父さ、ん。どうして……どうして、こんな」

「俺の躾が足りなかったようだ。まさか、雅が君に手を出していたなんて」


わたし、なにもされてない。

ううん。


いっぱい酷いこと言われた。

傷つけられた。

困らせられた。


だけど。


だけど、こんな風に暴力をふるったりなんてされてないっ……。
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