キミは俺のモノでしょ
嘆く永浜くんをよそに、

「それじゃ、帰ろう」

わたしを急かす兄。


「でも……」


わたしは兄に勉強を教わりたくない。

補習に出て、先生にお願いしたい。


兄がわたしに教えてくれるとは思えない。

先生の手前そういっているだけで、帰れば放置されると思う。


だいたい兄は塾に行かなきゃならないはず。

一緒に帰れないでしょう……?


……それに。


せっかく、誘ってくれたのに。

カラオケは得意ではないにしろ、補習のあと三人で遊ぼうって雰囲気なのに。


邪魔、しないで……。


「行くよ、うらら」


――わたしの手を引くと、兄が教室からわたしを連れ出した。
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