キミは俺のモノでしょ
足早に歩く兄に合わせて小走りになるわたし。


「一人で、歩けるよ……」

「ああ。そう」


兄がわたしの手を離した。

靴箱で外靴に履き替えると並んで校門を出る。


「バイバイ、雅くん」

「また明日」


途中、女子たちから声をかけられ優しく笑い返す兄。


そのあとはもう、会話なんてない。

ひとけのない場所にきてしまえば、わたし達は『仲の良い兄妹』を装う必要もないから。


家に帰ると兄が部屋に入って行った。

思ったとおりだ。

勉強を教えてくれる気はないらしい。
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