キミは俺のモノでしょ
わたしの部屋で……?


「勉強、教えてくれるわけでは……ないんだよね?」

「バカに勉強を教えるなんて無駄な労力、俺がはらうと思う?」


……思わない。


だからこそ、邪魔しないでほしかった。

きちんと補習を受けさせて欲しかったのに。


兄はわたしに恥をかかせたいの?

追試で合格ラインとらせたくないの?


だとしたら本当にイジワルだ。


黙っていると、腰をおろした兄が口を開いた。


「テキスト」

「え?」

「出して。数学のテキスト」

「……はい」


よくわからないまま、テキストを兄に手渡す。

すると、兄がそれをパラパラとめくり黄色い蛍光ペンで書き込みを入れ始めた。


え、なにしてるの……?


隣にかけ、兄の謎な行動をじっと観察するわたし。

なにを書き込んでいるのだろう。


チラっと兄が持ってきた問題集に目をやるとそれが三年生で習う範囲の科目だってことがわかる。

……ハイレベルにも程がある。
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