俺様野郎とパシリなあたし
―――ボコッ!
…もう、まったく。
何回言えば分かるかな、この二人は。
蓮と優悟の頭には、こぶが一つずつ。
あたしが殴ったあとが、くっきり残っている。
「あーちゃん、せっかくの臨海学校なのに…殴る事ないじゃん」
こぶを摩りながら、優悟が子犬のような目をして言った。
…そう、あたし達は今、臨海学校の真っ最中なのです。
せっかくバスでゆっくりしようと思ったのに、蓮と優悟ってば…
それはもう暴れるわ、うるさいわで、ゆっくりなんて出来やしない。