俺様野郎とパシリなあたし





さっきまで座っていたはずの黒い人影が、目の前に立っていたからだ。


あたしの頭に“幽霊”という単語が浮かび上がる。


「何やってんだよ、バカ明菜」


「え…?」


だけど、聞き慣れてしまった“バカ明菜”の言葉で、すぐに幽霊なんかじゃないと確信した。


「蓮…?」


「ほら、立てよ」


そう、幽霊よりも厄介な人間。


そこにいたのは蓮だった。






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